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自然光の操り方、作り方
撮影するに当たって、自然光に勝るものはありません。
ただ、その操り方一つで最高の画像になったり、最悪の画像になったりするのも事実です。
自然光でそのまま撮影して、見た目通りになると思ったら大間違いです。
まるで暴れ馬に乗っているようなもので、想像以上のパフォーマンスを発揮したと思えば、ちょっと気を緩めると振り落とされそうなくらい最悪の状況になったりもします。
自然光でイメージ通りの画像を作るにはそれなりの方法や考え方があります、今回は自然光の操り方について考えてみたいと思います。
強い日差しを操る
日差しが差し込むテーブルの上で、手作りのスイーツを撮影してみたいと思います。
ティータイムのイメージです。
この場合、強い日差しが当たっている部分と、影の部分の明暗差がとても激しく、そのまま撮影すると目で見たようなイメージの写真にはなりません。
何故かというと人間の目と脳は素晴らしく優秀で、勝手に明暗差を修正し、爽やかな日差しの中に置かれたスイーツのイメージとして脳が認識します。
ですから、そのまま撮影すると自分の目で見たイメージと全く違う画像が撮れてしまう事がよくあります。
露出計で日差しが当たっているところと影になっているところを計測してみると、数値的にとんでもない差があり、カメラのレンズとセンサーでは両方同時にを表現しきれない程です。
ハイライト部分を中心にすればシャドー部分は真っ黒につぶれてしまうし、シャドー部分を中心にすればハイライト部分は真っ白に抜けてしまいます。
ですから、見た目に近いイメージにしようとしたら、撮影する前に明暗の差を縮めてやる必要があるのです。
具体的な方法としては白いレフ板を使用したり弱い補助光を入れたりします。
レフ板を使用していない画像 コーヒーカスタードクリームのサイドの質感が潰れていたり、パンの上の影の部分が暗くなり過ぎたりしています。 |
レフ板を使用している画像 白いレフ板を皿のギリギリまで近づけて入れてやると、コーヒーカスタードクリームの質感が出てきました。また、パンの上の影の部分も質感が出て、ほぼ見た目通りになっています |
レフ板の入れ方 レフ板は光を当てたいところに日差しを反射させるようなイメージで入れてゆきます。 レフ板を動かして一番いい角度で固定します。 |
こんなに違うイメージ
直接強い光が当たらない柔らかい光の中で撮影すると、明暗や色のコントラストも抑えられて優しく暖かみのある印象の画像になります。
四季がはっきりしていて、様々な自然の色彩や多様に変化する気候の中で暮らす日本人が好むのは、その全てが含まれる穏やかな柔らかい光の中で見る、中間的な色彩や明暗の様な気がします。
反対に、直射日光の差し込む中で撮影すると、明暗や色のコントラストがはっきりして激しく、力強い印象の画像になります。
強い光の下で1年中暮らす国の人々が好む色彩は、原色や白黒が多いような気がします。
柔らかい光の中で撮影すると優しく穏やかなイメージの画像になります。
直射日光の差し込む中で撮影すると力強く激しいイメージの画像になります。
雨が降ってしまったら、自然光のようなライティングを作る
自然光の入る撮影スタジオはメリットも大きいのですが、デメリットもあります。
それは天候に大きく左右されるという事です。窓から入る自然光を想定していても、雨の日はそれは叶いません。
その場合は自然光の様な光をライティングによって作る事になります。
自然光がいっぱい入らなくても、自然光ライティングが容易にできるスタジオなら、もし雨が降ってきてもまるで自然光の様な画像が撮影できるのでとても安心です。
そういった事を想定して、照明機材を設置する雨の当たらないスペースを設けているハウススタジオやキッチンスタジオもあります。
雨の多い季節などは、そういった設備のあるスタジオを利用するのも良いでしょう。
具体的なライティング方法としては、あくまでも窓から差し込む光を作ると想定してカポックなどの反射板や、白い壁などを利用して照明の光をバウンスさせ窓から人工的な光を入れてやる事です。
柔らかい光にしたい場合は、トレペ(トレーシングペーパー)やレースのカーテンを利用してやると良いでしょう。
窓の外の白壁にストロボをバウンスさせて自然光のような光を作ります。 もう少し柔らかい光にしたいと思った場合は、レースのカーテンを引きます。 (坂ノ上スタジオ Ast) |
作例
自然光の様なライティングをして撮影した作例